海外旅行中の突然の下痢…知っておいたほうが良い原因と対処法

海外旅行で起こると厄介な下痢の症状…

海外旅行中に何が困ると言えば、体調不良ですね。せっかく楽しみにしていた観光も、バカンス気分も台無しになってしまいます。体調不良にもいろいろあります。足首をひねった、転んでひざを打った、という程度でも、行動が規制されてしまいます。

さらに困るのが内臓系の不良です。食べすぎて消化不良、位なら胃腸薬で対処できますが、風邪をひきかけたりすると、持参していれば風邪薬を飲んで、とにかく暖かくして安静にするしかありません。そしていろいろな体調不良の中でも、特に厄介なのが下痢。酷い時にはお手洗いから離れられなくなります。お腹は痛いし、急にお手洗いに行きたくなるので、ツアーバスの中でも脂汗をかきながら我慢をしたり、リゾート滞在型であれば、ベッドとお手洗いを往復することに。

ところが海外旅行に行った半数以上の人が、旅行先に到着してから5日以内に下痢をする、という統計結果もあるのです。

今回は、あまりなりたくないけれど、なぜかなってしまう時がある下痢の症状がなぜ起きるのか、どう対処したらいいのか、をお伝えします。

海外旅行中に起こる下痢の原因として考えられるものは?

海外旅行中に下痢が起こる原因として考えられるもの

せっかく楽しみにしていた海外旅行。それなのに下痢になってしまったら?楽しい思い出が一気に、辛い思い出になってしまいますね。旅行する国や地域によって違いはありますが、約半分の人が旅行先に到着してから5日間以内に起こしてしまうといわれる下痢。

では、なぜ海外旅行中に下痢が起きるのかを、考えられる原因別にみていきましょう。

水の違い

ほとんどの方が既に知っていると思いますが、水道水をそのまま飲んでも大丈夫な国の方が、世界的には少ないのです。開発途上国のように衛生状態に問題がある場合だけではありません。先進国でもミネラルが多い水が一般的な場合には、ミネラルが少ない水で暮らしている日本人は下痢になる場合があります。

疲れが溜まっている場合

海外旅行へ出かける前に「お休み中にできるだけ周囲に迷惑をかけないように」とがんばって働いてはいませんか?残業を続けたり、自宅に持ち帰って仕事をしたりしながら、旅行の準備もすると、自覚は無くても自分に負担をかけている場合があります。その疲れが海外旅行に出かけた頃に、腹痛や下痢といった症状で出る場合が考えられます。

旅行による疲労やストレスなどによるもの

楽しみにしていた海外旅行。ついつい欲張って、過密スケジュールを組んでいませんか?また、移動型の海外旅行の場合、短期間で次々と違うホテルに泊まるので、実は十分に休めていない可能性もあります。

さらに団体ツアーの場合は、移動中から観光、食事まで、初めて会う人とともに行動をするので、自覚はないけれど、気疲れをしている場合があります。このように体が新しい環境に慣れられず、疲れているところに十分な休息がとれないと、下痢と言う症状で体調不良が出てしまう場合もあります。

現地の食材管理によるもの

先進国であろうと、発展途上国であろうと、食材の管理が適切でない場合には、その食材を食べて下痢になることがあります。特に発展途上国に行った旅行者の7~8割が下痢を起こす、という理由の一つには、この食材の管理方法にあると言えます。

こちらがこまめに手を洗ったり、ミネラルウォーターを購入して飲むなど、自衛をしていても、さすがにレストランの食材管理までは確認できません。例えば日本のように、肉や魚の温度管理が厳しい国もあれば、あまり温度管理に敏感でない国もあります。現地の人はその食材状態に慣れているので、特に問題は起きなくても、いつも管理されて、新鮮な食材だけを食べている日本人の場合には、同じ状態のものを食べても下痢が起こることもあります。

食べなれない果物を食べた場合

南の国に行った場合によくおきるのが、食べなれないフルーツが原因で下痢が起こる、というケースです。

実は南の国のフルーツは、酵素がたくさん入っています。現地の人たちはずっとそれを食べているので慣れていますが、日本人である私たちの胃腸には酵素が強すぎて、下痢を引き起こすのです。例えば青いパパイヤやマンゴスチンなどは、強い酵素を持っています。たくさん食べると下痢にはならなくても、お腹がなんとなく痛い、内臓が疲れた感じがするほどです。

油、スパイスによる場合

食べなれない油やスパイス類に胃腸が疲れてしまい、下痢を引き起こすこともあります。

例えばインド料理ではギーと呼ばれる独特の油に、香辛料がたくさん使われています。中東からトルコまでも、スパイスが多い料理がほとんどです。また南欧ではオリーブオイルをふんだんに使います。こうした、日頃はあまりとらない油やスパイスに胃腸が疲れてしまい、下痢になってしまうことがあります。この場合はしっかり加熱をしたものを食べていても、その油や味付けで下痢が起きてしまうので、厄介です。

ウイルスや細菌、寄生虫などによるもの

特に開発途上国へ行った際に起きる下痢の原因として多いものが、ウイルスや細菌、寄生虫などの感染です。この場合は下痢だけでなく、血便が出たり、嘔吐や発熱したりする場合があります。原因となる病原体をはっきりさせるのは難しいので、下痢以外にこうした症状が続くようでしたら要注意です。

海外旅行中の下痢の対処方法は?

対処法は原因別に考えよう

下痢が起こった場合、どのように対処をすればいいのでしょうか。
実は原因別にやった方がいいこと、悪いことがあります。

身体の疲れが溜まっている場合

この場合は、比較的短時間で下痢は止まります。胃腸が弱っているだけなので、もし移動する団体ツアーの場合は、下痢止め(薬品名 ロペラミド)と飲むと効果的です。バス移動中にお手洗いに行くことが難しい場合の下痢を抑える作用があります。ただし、下痢止めは下痢を根本的に治すことはできないので、注意が必要です。できるだけお手洗いには頻繁に通い、こまめにミネラルウォーターで水分補給をしましょう。出された食事の中でも、消化の良いものだけを食べるようにして、内臓の疲れを軽くするために胃腸薬を飲むのも良いです。

観光も最低限にして、バスの中でゆっくりする、または自由行動日にはホテル周辺の観光だけにとどめて、昼寝をするなど、まずは疲れを取ることを第一に考えましょう。

現地の食材管理、またはウイルスや細菌、寄生虫が原因と考えられる場合

現地の食材管理が日本と異なるために下痢が起きたと思われる場合には、まず、体内から問題の食材を出そうとする反応、つまり下痢を止めないことが肝心です。下痢の時はとても苦しいのですが、その食物が体から出てしまうと楽になります。そのため、安易に下痢止めを服用するのは避けましょう。有害な食材がいつまでも体内に滞在することになり、かえって症状が長引いてしまいます。

脱水しないように、お湯を沸かしてカップに注ぎ分けて作る「湯冷まし」を少しずつ飲み、温かくして安静を心がけましょう。こうしていると、よほど悪質でない限り、2日程度で収まります。

また水分補給に、と無理に現地で販売されているスポーツドリンクをとることは、おすすめしません。細菌やウイルスなどによる下痢の場合は、嘔吐を伴うことが多く、その場合には腸だけではなく、胃も弱っていることが多いからです。弱った胃腸には、健康な人が飲むのに適したスポーツドリンクが負担になる場合もありますので、一口飲んで「口の中に変な味が残る」と思ったら飲むのを止めて、湯冷ましにしましょう。

安静にしているのに、激しい下痢が続き、血便や発熱が起きる場合には、すぐに現地の医師に相談しましょう。 また帰国後に下痢が続く場合には、かかりつけ医に相談しましょう。

食べなれない果物、油、スパイスが原因の場合