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ラオス・ビエンチャンってどんな場所?
「東南アジアの桃源郷」、「アジア最後の秘境」、「ニューヨーク・タイムズ紙で、世界で一番行きたい場所に選ばれた国」。旅行会社のサイトなどでラオスを紹介するときに良く使われる謳い文句です。
1995年、私が最初にラオスの首都ビエンチャンを訪れた時も、まさに同じ気持ちを抱きました。空路ビエンチャンに到着する直前、飛行機の窓から見た光景は、今でも、たまに、鮮やな色彩を伴って思い出します。ビルなど近代的な建造物が見当たらず、木々の緑と伝統家屋からなる小さな村がポツンポツンと点在し、その間を赤土の未舗装の道路がつないでいました。首都と言うよりは、村の集合体といった景色に、ワクワクと心が浮き立ちました。
最初のラオス訪問の滞在日数は、1週間ほどでしたが、機上で抱いた以上の感動の連続でした。これまで見たことの無い物を目にし、聞いたことの無い話を聞き、食べたことの無い食べ物に舌鼓を打ち。数々の異文化を体験し、興奮と感動のなかで1週間の滞在はあっという間に終わってしまいました。
旅に関して研ぎ澄まされた感性を持つ人から見ても、ラオスは訪れてみたい国のひとつのようです。2008年、ニューヨーク・タイムズ紙が「世界で一番行きたい国」にラオスを選んでいます。
The 53 Places to Go in 2008 – New York Times (nytimes.com)
選ばれた理由は、世界遺産にも指定された「ワットプー寺院群」や「古都ルアンパバーンの町並み」の素晴らしさ。そして、世界遺産には選ばれていないものの、首都ビエンチャンなどの古代遺跡や文化的価値、観光地としての魅力などが挙げられています。今はコロナで一旦ストップしているメコン川クルーズなどについても紹介されています。
私が始めてラオスを訪れた頃に比べると、ラオスを訪れる海外からの観光客はうなぎのぼりに増え、それと共に宿泊施設や飲食店も質量ともに充実し、訪問者によって異なるさまざまなニーズに応えられるようになっています。ラオスの一人旅も、これからもっともっと、便利で楽しくなっていくでしょう。
便利になった首都ビエンチャンでも、人々の心の内側を除けば、まだまだ昔ながらの伝統的な考え方や習慣がその核にあるように思われます。托鉢に向かう僧侶、寺院で熱心に祈る人々、精霊が宿る祠に供え物を欠かさない女性、数百人の親族・知人を招いて盛大に祝う誕生・旅立ち・出産・結婚などの儀式。人々は伝統的な観念・風習の中で、穏やかに安らかに日々の生活を送っています。家族、親戚、友人との付き合いを大切にし、人と人との繋がりの中で、生まれ、働き、死んでいきます。
ラオスが多くの旅人の心を捉えて離さないのは、私達が、日常の暮らしの中では、出会えない光景、思想、文化、暮らしなどを垣間見ることができるからかもしれません。想像を遥かに超える非日常に出会った時、心が大きく躍動し、そこから、全く違う生き方が見えてくるような気がします。
ラオス旅行に関する、ビザや通貨などについての詳細なデータは下記の記事で詳しく紹介しています。
東南アジア最後の秘境と呼ばれるラオスでは、人々は伝統を守りながら静かに暮らしています。今回は、ラオスを観光で訪れるみなさんに、ラオスの見所、グルメ、癒しのスポットなどをご紹介します。日常生活に疲れた方は究極の癒しの旅をラオスでお楽しみください。
ラオス・ビエンチャンは一人旅しても安全なの?
ラオスは、東南アジアの国々の中で、最も安全に一人旅が楽しめる国のひとつと言われています。これは、社会主義国のラオスが、一党独裁の政権下で、治安維持を重視し、軍や警察による取締りを強化していることと深い関わりがあります。
しかし一方では、急激な経済成長により、貧富の差が拡大し、心の平衡が保てずに犯罪に走る人も増えているようです。
詳細は在ラオス日本国大使館領事班がネット上で公表している:『安全対策マニュアル第三章、治安情勢等』をご確認ください。
犯罪よりも深刻なのが、悪化の一途をたどるビエンチャンの交通事情です。ビエンチャンは急激な人口増加や経済成長により、車やバイクの数が急増しています。こうしたなか、信号機や横断歩道などの安全措置が不十分のため、一部のエリアでは、歩行者が安全に道路を渡ることすら難しくなっています。
在ラオス日本大使館警備班では、人口がほぼ等しい千葉市とビエンチャン市の交通事故による死亡者数を比較することで、ビエンチャン市の交通事情を分かりやすく説明しています。
これによると、人口約100万人あたりの交通事故死亡者数が千葉市では約10人であるのに対して、ビエンチャン市では約20倍の190人もいるようです。
一人旅を安全に楽しむためにも、ラッシュアワーを避けて移動をしたほうが良いでしょう。特に避けたい時間帯は朝の7時半から8時半、夕方4時から6時前後です。
酒好きが多いラオスでは、取締が行き届かないこともあって、夜間は飲酒が原因の事故が絶えません。我が家の塀も、2021年4月13日深夜、ラオス正月(ピーマイラオ)が始まった初日に、酔っ払いの車に突っ込まれて崩壊しました。ラオスを訪れた時は、お祭りの日の夜間の外出は、くれぐれも気をつけてくださいね。
煩雑な人間関係から開放され、気持ちをリフレッシュするために、一人旅を楽しむ女性はますます増えています。治安がよく、人も穏やかなラオスは、女性が一人旅を楽しむのに最適な場所と、インターネットやメディアなどで紹介されています。
私もラオスに移住して一年以上になりますが、一人で外出して危険な目にあったことはありません。しかし、敬虔な仏教徒が大多数を占めるラオスだからこそ、気をつけなければならないことがあります。ラオスの女性はおおむね保守的で、服装や言動に細心の注意を払って生活をしているように感じます。
一人旅を好む女性は、好奇心旺盛で、言葉の壁などものともせずに、現地の人々との交流が楽しめる方が多いのではないでしょうか。実際、遺跡や博物館の観光よりも、現地の人々とのちょっとした触れ合いや会話が、旅の一番の思い出になったりしますよね。
伝統的で保守的なラオス人女性に比べて、開放的で自由に一人旅を楽しむ日本人女性は、「もしかしたら?」と淡い期待を抱かれてしまうことがあるようです。カフェやバーでラオス人男性から延々と口説かれて嫌な思いをした、という悲しい話もチラホラと耳にしてきました。
勘違いされないためにも、短パンやノースリーブなどの服装は避け、夜間の独り歩きなども注意したほうが良いかもしれません。
ラオスの治安に関しては、下記の記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてください。
ラオスへ渡航すう前に。ラオスの治安について確認しておきましょう。(Plus Quality プラスクオリティ)
ラオスの首都ビエンチャンに暮らして半年になります。よく一人で外出しますがあまり危険を感じません。故郷の長野と同じ様に困っていたら必ず誰かがたすけてくれる、そんなのどかなところです。しかし、伝統的な暮らしも都市化の波を受けて少しずつ変化しています。今回はラオスの治安状況、変化、注意点についてご紹介します。
ラオス・ビエンチャン一人旅で訪れたい穴場10選
ラオスには大規模なテーマパークや遊興施設、ナイトライフを派手に楽しめるような場所はありません。ラオスの魅力は、ゆったりと流れる時間の中で、人々が送る日常の生活そのものだと思います。
彼らの日常にそっと近づいてみましょう。そこには、旅人の心が反映される、自分だけの発見が必ずあるはず。現地の人々の暮らしと共にある不思議な光景、小さな出会い。こういったものがラオスの旅の醍醐味のような気がします。
ラオス・ビエンチャン一人旅で訪れたい穴場①タート・ルアン村
ビエンチャン市街地の東の外れにあるタート・ルアン寺院は、紙幣にも印刷されていて、ラオスを象徴するような国家的な寺院です。毎年旧暦の12月に行われるタート・ルアン祭では、何万人規模の大托鉢式が模様され、圧巻の光景です。
一人旅でここを訪れたときには、タート・ルアン寺院の裏手に広がるタート・ルアン村を散策してみてはいかがでしょう。寺院の裏門(東門)の東側一帯は、窪地になっていて、数十年前までは木造の高床式家屋が立ち並ぶ、小さな集落でした。現在では、観光客を迎えるため、道路も街並も見栄え良く整備されています。
タート・ルアン寺院の東門から東にまっすぐ伸びる大通りがあって、この通り沿いには、お土産物屋や飲食店が並びます。この一本南側の小道06番通りを東に進み、最初の小道10番通りとぶつかるT字路の角にあるのが、タート・ルアン村の村役場です。
ラオスの村役場は、日本の区役所や市役所に相当し、行政機関の末端組織として機能しています。小ぢんまりとした小さな建物、オープンエアの事務室と、なんとものどかな雰囲気ですが、村で暮らす人々の生活と切り離せない重要な場所です。ここでは、村人の揉め事を仲裁し、選挙時は投票所として使われ、戸籍等様々な重要書類を発行しています。
村役場から10番通りを南に折れてまっすぐに進むと、Nong Bone大通りにぶつかります。通りを渡ると、ショッピングモール「That luang Plaza」があり、ビエンチャン市民がのんびりと買い物を楽しむ風景が見られます。
歩くことが苦でない人は、Nong Bone大通りをまっすぐ東に進んでみてください。15分ほど歩いて、小さな川に架かる橋を渡ると、右手にHua Khua Marketが見えてきます。ここは生鮮食品や日用雑貨などが売られている市場で、午後3時頃から6時頃まで、最も多くの人で賑わいます。ココナッツスイーツや焼鳥、もち米といったご当地グルメも売っているので、ぜひ、試してみてください。
ラオス・ビエンチャン一人旅で訪れたい穴場②手織布工房「マイカム」
マイカムは閑静な住宅街に佇む高級シルク織物店で、ラオスの伝統的衣装の巻きスカートやショールなどを製造・販売しています。
オーナーのニッキーさんは、いかにもやり手といった風で、お店の絹織物の優位性などをトクトクと語ってくれました。タイや欧米のバイヤーとパートナーシップを組んで、ラオスの手織物商品の販売を、世界に向けて大きく伸ばしてきた人です。
こちらでは工房の見学も可能です。工房では30人以上の織子の女性が、オープンエアの作業場で、機織りをしています。織子たちの多くは、ラオスで手織産業が最も盛んに行われてきた、ラオス北東部サムヌア地方から出稼ぎに来ている女性です。同地方がラオスの手織布の発展に果たした役割に関しては、下記のレポートで確認できます。
『贈られる織物 ラオス北東部フアパン県サムヌア・サムタイ地方の事例から』 伊藤 渚(総合研究大学院大学)
工房を案内してくれたのは、オーナーの右腕として織子たちを束ねるポーンマニーさん。10代で手織布の本場、サムヌアからビエンチャンに出稼ぎに来て、もう15年以上こちらで布を織り続けているそうです。布を織ることで現金収入を得、家庭を築き、子供を育ててきたと、静かに語ってくれました。
ポーンマニーさんの説明によると、機織りの本場サムヌアでは、各家庭で小型の機織り機を所有し、女の子は10歳になるかならないうちから、手織の技術を母親から学ぶといいます。こちらの工房で働く織子は月に100ドルから300ドル稼げるようで、ラオスでは公務員と同程度の収入が得られるということになります。女性の就職口が少ないラオスにおいて、手織布は、女性に働く場を提供する貴重な産業でもあるようです。
ラオス・ビエンチャン一人旅で訪れたい穴場③ラオス繊維博物館
こちらはラオス伝統織物の染料や原料、製造や貯蔵などについてトータルで学べる施設です。緑が茂る広い敷地の中には、ラオスの伝統家屋が点在し、ゆっくりとお散歩するだけでも楽しいかもしれません。オーナーの女性が、織物コーナー、染色コーナー、伝統家具調度などテーマごとに敷地内を案内し、織物や染色の製造過程などを実演してくれます。
併設のおしゃれなブティックでは、高級なショールやスカートから、安価な小物まで各種販売しているので、お土産を買うのにも、ちょうどよいかもしれません。
ラオス・ビエンチャン一人旅で訪れたい穴場④市中心部のお寺散策
ビエンチャンを一人旅で訪れる多くの旅行者は、市の中心部にあるナンプー広場の周辺に宿を取る人が多いのではないでしょうか。サームセンタイ通り、セーターティラート通りには、おしゃれなホテルから安く泊まれるゲストハウスまで、様々なタイプの宿泊施設が軒を連ねています。
こちらのエリアには、ビエンチャンで最も古い寺院建築が残るワット・シーサケット、王の保護寺院であったワット・ホーパケオといった有名な観光地としての寺院があります。こうした寺院を訪れるのは、ほとんどが海外からの観光客で、地元の人はほとんど見かけません。
市の中心部で、地元の人が多く参拝するのは、セーターティラート通りに面するワット・オントゥやワット・ハーイソークといった寺院です。両寺院では、地元の敬虔な信徒が、徳の高い高僧にお経を上げてもらう光景をよく目にします。
長く伸びる白い糸を握りしめながら、お経を上げてもらう男女。三人の僧侶と向き合い、掛け合いのようにお経を唱え合う信心深そうな女性たち。お祈りの内容によって異なる様々な読経のパターンや、祈りの場面に出会えます。